Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

来る時もう階子段を一つか二つ下りている津田には、この浴槽の階下がまだあろうとは思えなかった。

「いったい何階なのかね、この家は」

下女は笑って答えなかった。しかし用事だけは云い残さなかった。

「ここの方が新らしくって綺麗は綺麗ですが、お湯は下の方がよく利くのだそうです。だから本当に療治の目的でおいでの方はみんな下へ入らっしゃいます。それから肩や腰を滝でお打たせになる事も下ならできます」

湯壺から首だけ出したままで津田は答えた。

「ありがとう。じゃ今度そっちへ入るから連れてってくれたまえ」

「ええ。旦那様はどこかお悪いんですか」

「うん、少し悪いんだ」

下女が去った後の津田は、しばらくの間、「本当に療治の目的で来た客」といった彼女の言葉を忘れる事ができなかった。

「おれははたしてそういう種類の客なんだろうか」

彼は自分をそう思いたくもあり、またそう思いたくもなかった。どっち本位で来たのか、それは彼の心がよく承知していた。けれども雨を凌いでここまで来た彼には、まだ商量の隙間があった。躊躇があった。幾分の余裕が残っていた。そうしてその余裕が彼に教えた。

「今のうちならまだどうでもできる。