Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
と云った。
「じゃ自動車、ね」
「自動車は少し大き過ぎるな」
「なに小さいのさ。七円五十銭のさ」
七円五十銭でも津田にはたしかに大き過ぎた。彼は何にも云わずに歩き出した。
「だってこの前もその前も買ってやるっていったじゃないの。小父さんの方があの玉子を出す人よりよっぽど嘘吐きじゃないか」
「あいつは玉子は出すが鶏なんか出せやしないんだよ」
「どうして」
「どうしてって、出せないよ」
「だから小父さんも自動車なんか買えないの」
「うん。――まあそうだ。だから何かほかのものを買ってやろう」
「じゃキッドの靴さ」
毒気を抜かれた津田は、返事をする前にまた黙って一二間歩いた。彼は眼を落して真事の足を見た。さほど見苦しくもないその靴は、茶とも黒ともつかない一種変な色をしていた。
「赤かったのを宅でお父さんが染めたんだよ」
津田は笑いだした。藤井が子供の赤靴を黒く染めたという事柄が、何だか彼にはおかしかった。学校の規則を知らないで拵らえた赤靴を規則通りに黒くしたのだという説明を聞いた時、彼はまた叔父の窮策を滑稽的に批判したくなった。そうしてその窮策から出た現在のお手際を擽ぐったいような顔をしてじろじろ眺めた。