Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

それを話して下さい」

「そりゃ話せないわ」

「そう遠慮しないでもいいから、是非話して下さい」

「遠慮じゃないのよ、話せないから話せないのよ」

「しかし自分の胸にある事じゃありませんか。話そうと思いさえすれば、誰にでも話せるはずだと思いますがね」

「私の胸に何にもありゃしないわ」

単純なこの一言は急に津田の機鋒を挫いた。同時に、彼の語勢を飛躍させた。

「なければどこからその疑いが出て来たんです」

「もし疑ぐるのが悪ければ、謝まります。そうして止します」

「だけど、もう疑ったんじゃありませんか」

「だってそりゃ仕方がないわ。疑ったのは事実ですもの。その事実を白状したのも事実ですもの。いくら謝まったってどうしたって事実を取り消す訳には行かないんですもの」

「だからその事実を聴かせて下さればいいんです」

「事実はすでに申し上げたじゃないの」

「それは事実の半分か、三分一です。僕はその全部が聴きたいんです」

「困るわね。何といってお返事をしたらいいんでしょう」

「訳ないじゃありませんか、こういう理由があるから、そういう疑いを起したんだって云いさえすれば、たった一口で済んじまう事です」