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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

津田が手術の準備だと云って、せっかく叔母の拵えてくれた肉にも肴にも、日頃大好な茸飯にも手をつけないので、さすがの叔母も気の毒がって、お金さんに頼んで、彼の口にする事のできる麺麭と牛乳を買って来させようとした。ねとねとしてむやみに歯の間に挟まるここいらの麺麭に内心辟易しながら、また贅沢だと云われるのが少し怖いので、津田はただおとなしく茶の間を立つお金さんの後姿を見送った。

お金さんの出て行った後で、叔母はみんなの前で叔父に云った。

「どうかまああの子も今度の縁が纏まるようになると仕合せですがね」

「纏まるだろうよ」

叔父は苦のなさそうな返事をした。

「至極よさそうに思います」

小林の挨拶も気軽かった。黙っているのは津田と真事だけであった。

相手の名を聞いた時、津田はその男に一二度叔父の家で会ったような心持もしたが、ほとんど何らの記憶も残っていなかった。

「お金さんはその人を知ってるんですか」

「顔は知ってるよ。口は利いた事がないけれども」

「じゃ向うも口を利いた事なんかないんでしょう」

「当り前さ」

「それでよく結婚が成立するもんだな」

津田はこういって然るべき理窟が充分自分の方にあると考えた。