Classici giapponesi con furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate
春の日ざし
一
たゞリンゴと玉ネギだけ置いて行く理由がどうもはつきりしないようにも思えてくる。が、そんなことはばく然とたゞそう思つただけで、北原ミユキの手紙の続きを読む。モトムのような子供を今の農村の学校へ入れることは可哀そうだと言い、また国民学校というものを痛烈にば倒し、最後に、町と言わず村と云わず、人間がもつと高い理想をかゝげて生きることはできないものであろうか、と結んである。
康子は、肩で大きく息をついた。
春の日ざし
一
冬の眠りからさめたこの谷間の村には、もうそここゝのリンゴ畑にほの白い花がちらほらと咲きはじめていた。
市ノ瀬牧人は、全村の麦の育ち加減をみて歩くかたわら、冬の肥料のおそろしく不足した果樹にもひととおり注意して、ことしは虫の駆除を徹底的にやらねばと考えた。
野良には、まだ顔を覚えきらない男や女がいた。ことになじみのない年寄りに声をかけるのがおつくうであつた。明らかに技術の不足を感じさせる菜園が目につく。しかし、なまじつかな指導は真つ平という気風があるから、うつかり口出しはできぬ。ことに実地の経験が浅いのは彼の弱味であつた。
が、こういう日課は、彼にとつては、事務所の机にかじりついているよりましであつた。