Classici giapponesi con furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate
二
そのとおりである。
彼女は、その夜、夫一徳に見送られて新宿をたつた。それにしても、夫とはどういうふうにして別れて来たか。そのことについてまず語らねばなるまい。
さきごろ、夫の勤務先であるH町工しようをたずね、夫の口からまさかと思つた最後の決意を打ちあけられようとし、彼女は、それをはつきり言いきらせないうちにと、夫を誘つて陰気な部屋を出たのであつたが、真ひるの日光もひろ/″\とした自然も、彼のいちずな思いをひるがえさせることはできず、そのうえ、これはまた難題ともいえるような問い責めにあつた。
――お前は、おれの最期をみとゞけたあと、いつたい、どうするつもりだ? それをはつきり聞いておきたいのだ!
二
夫の絶望的な気もちはわかるとしても、そういう気もちに理くつをつけて、ひとを納得させようとする自分勝手には彼女もついていけないのである。彼女は、それがなんにもならないとは知りながら、あくまで夫の言いぶんに反対した。そして、こんなことを言つた。
――なんとおつしやつても、あたくしにはわかりませんわ。そういうことをしなければならない立ち場の方もあるでしようけれども、あなたは、ちがいます。