Classici giapponesi con furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate
五
おそろしく顔色がわるく、からだをわるくしていることはひと目で察せられた。
「わしの戦友で、負傷はする、病気はする、難儀をした男です」
市ノ瀬牧人がいうと、
「この通り、足は義足だで……」
と、その青年は左脚をちよつとあげてみせた。
「おやじさんは?」
「うむ? おやじはそこにおる」
あごで指す方をみると、小屋の裏手に、木の根のようにうずくまつて、俵を編んでいる男がいた。
五
ついさつきまで日があたつていたのに、おやという間に、薄暗い夕やみがおりていた。
急いでそこを引きあげはしたが、荷物をとりにさつきの家に寄つた頃は、もうあかりのつくころであつた。
どんなにしても二時間はかゝる道であつた。
「すこしゆつくりしすぎたわね。でも、いゝピクニックだつたわ」
井出康子は、だいぶ参つたらしいむすこの様子を気にしながら、足もとのあぶない坂道を、つまづき、つまづき、歩いた。
「なに、わしは、あの家へ一晩やつかいになつてもいゝぐらいに思つとつたで……」
「じようだんじやないわ。でも、あんた、おなかがすいたでせう?」
「わしはなんでもないが、モトム君はどうだね?」
「ボク、すいたさ」