Classici giapponesi con furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate
三
脱いだ洋服を素早く着る。夜具をたゝむ。それをぽかんとしてみていた筒井レイ子は、
「ユキちやん、あんた人情いうものわからんの? 見ず知らずのもんやなし、男ちゆうたて遊びに来たんやなし、この夜更けに泊るとこない言うてんのやぜ。どないでもせえいうて、ほつとかれるの? 男、男、あんたは言うけど、男がなぜそうこわいの? 男かて人間、女かて人間や。いつしよに寝たかて、どうもないもんはどうもないんや。あほらし、そんなら、こういう商売やめたらええわ。ちよつと、どこへ行くんや、あんたは? バカ!」
もう、ドアに手をかけようとしている北原ミユキの前へ、筒井レイ子は、よろめきながら立ちふさがる。
どこへ行こうにも、行くあてなどあるはずはない。北原ミユキは、たゞ、この部屋を出さえすればよかつたのである。
「なんでもいゝから、そこどいて! 約束を守らないの、あたしいやなのよ。さあ、どいてつたら……」
押しのけようとする手をはらつて、筒井レイ子の片手が、逆に彼女のほおをピシャリと打つた。
三
北原ミユキがはつと思う瞬間に、相手は泣きだしそうな顔になり、
「なんちゆうひと、あんたは? それであたしが黙つとる思うてんの? あんたをほうりだすくらいなら……それくらいなら、うち、マーさん連れてヨネちやんとこへでもなんでも行くわ」