Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate
七
乃婦が、改まつて、孫に「ごあいさつは?」と促す。北原ミユキは、別に変つた風もみえぬ生徒の肩をたゝいて、これなら案じることはないと思う。
厳粛な顔をして、二人の若者は、畳の上にかしこまつている。
康子は、それをみて、吹きだす。
「いやねえ、お通夜みたい……」
七
額ぎわからくびすじへかけて、ぐつしよりの汗を、康子は、無造作にハンカチでふきながら、
「あゝ、いゝ気持だつた。みなさん、いらつしやい。とんだところをみられちやつた。おかあさま、どうもおやかましゆうございました」
こんな風に、しゆうとには軽くじようだんめかしたわびを言う彼女の心づかいが決して不自然でなく、むしろ一座を晴ればれとした家庭の空気のなかへ誘いこんだ。
「なんちゆう、すごいもんずら」
わざと土地の言葉で、北原ミユキがまず感嘆の叫びをあげる。
「やつぱ、音楽は、ほんとは眼でみんならんのだに。耳といつしよに眼で聞くちゆうことがいるだに」
と、彼女は、だれにともなく、ちよつぴり「先生」らしい調子をみせる。
「そういうこんだ。耳で聞くだけなら、レコードでもラジオでもえゝわけだでなん。演奏者が眼に見えるちゆうことは、自分も一緒に演奏しとるような気がするこつたでなん」