Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate
八
しかし彼女の眼の前は明るくなつた。
八
そういうわけで、康子がI市のコスモス洋装店からワイシャツの下うけ仕事をもらつてくるようになつたのは、もう一月の終りで、近所の農家では、旧正月のもちつきをはじめるころであつた。
朝から晩まで、ぶつ通しミシンを踏んでいて、配給のものがやつと手にはいるくらいの収入しかない。そのうちにもうすこし能率があがればと、彼女はわりにしよげずに、この単調な労働に全身をうち込んだ。
ある日、彼女は、農業会の製粉場へ少しの小麦を粉とかえてもらいに行つたところ、面倒だと言つて相手にしてくれないので、すご/\引つ返してくると、向うからどこか見覚えのある青年が近づいて来て、帽子をぬぎ、
「ごぶさたしています。わし、いつかお邪魔した市ノ瀬です。つい機会がなくつて、まだお悔みを申していませんが……まつたく驚きました」
と、このへんの若いものには珍しいあいさつのしかたである。
「あゝ、そうでしたつけ、市ノ瀬さんね、そう、そう、おみそれしてしまつて……。主人のことは、もうなんにもおつしやつてくださいますな。みなさんにほんとにお世話になつて、こんなことになるんですものね。