Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate

Aozora Bunko

四

「父のところ? いやですわ、あたくし……。そんならいつそ、信州へ参りますわ」

目黒というのは康子の実家ではあるが、父は素性の知れぬ若い女を引き入れて、目にあまるふしだらな生活をしているのである。

その夜は夫の先輩にあたるN中将の吉祥寺の家へ泊めてもらい、それ以来、彼女は夫の顔を見ないのである。

四

スーツケースに片ひじをついたまゝ、康子は、うつら/\していた。

その時、手荷物扱所の硝子戸をガラリと開けて、さつきの駅員が顔をつきだし、

「そこで待つなら、おんなじこつたから、火のそばへ来たらどうだね。そんなところ、寒くつて、眠られるもんかね」

彼女は、はつと顔をあげたが、なるほど、この寒さでは風邪をひくにきまつていると思い、駅員の言葉の調子もどうやら親切気からと感ぜられたので、彼女は、

「そうですか。では、お言葉に甘えて、すこし温たまらせていたゞきますわ」

と、荷物を携げて起ちあがると、駅員はわざ/\改札口の方から、こつちへという合図をして、ストーブの赤々と燃えている部屋の中へ彼女を招じ入れた。彼女は、ぽうつと顔にあたる熱気を心地よくもう全身に感じながら、すゝめられるいすを程よい位置におき直して、それへかけた。