Classici giapponesi con furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate
七
官等の下に漢字と片仮名とをまじえて、ずらりと並んでいるそれらの姓名のなかに、「伍長浜島シゲル」と、はつきり彼女の眼は読んだ。
七
「君がその記事を読んでたら、正木が何かしら感づいて、ぼくに言うだろうと思つてたんだ。やつぱり知らなかつたんだなあ。しかし、まだ、がつかりすることはないさ。裁判にかゝつて無罪になる例もあるからな」
尾関の言葉がぼんやり聞えはするが、北原ミユキは、まだ新聞から眼をはなさず、「浜島シゲル」という活字をじつと見入つているうちに、頭がしびれ、胸がつまつた。
彼女は、泣くまいと歯をくいしばる。
やがて、静かに新聞を下におくと、もう眼からあふれ出そうな涙を、つとふりはらうように顔をそむける。
ものを言えば、それでおしまいである。黙つて、いつまでも、窓の外をみつめていた。
「どうしようもないね。いやなことだ。じつにいやなことだ。君もしかし、いくらか覚悟はしていたろう? ものごとは、はつきりした方がいゝんだ。毎日港へはいる船を、いち/\探しまわる必要は、これでなくなつた。君のスイート・ハートは、シンガポールの法廷で、起訴理由のまつたく事実に反することを堂々と陳述すればいゝ。