Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate

Aozora Bunko

七

なにうたう?」

彼女はもう、小声で、「イレ タン プチ ナヴィール」と、フランスの童謡を口ずさみはじめた。

七

それから一週間ばかり後のことである。

井出康子は、昼の食事をひとりですましてから、仕事のあとを受けとりにI市まで出かけ、帰つてみると、思いがけない客が、座敷へあがつて待つていた。

「あら、どういうこと、これは? お嬢ちやんね、まあ可愛い……」

「いや、どうもごぶさたしてしまつて……。こんど子供を連れにちよつと帰つたもんですから、またと言つちやたいへんだと思つて、序にお寄りしてみたんです。お変りありませんか?」

「それは、それは……。えゝ、こちらはこのとおり……。でも、ずいぶん不便なところで、びつくりなすつたでしよう?」

「不便つて言えば、わたくしのいるところなんぞお話になりませんからね。けさ、着いて、その足で伺つたんですが、停車場を間違いましてね。すこし、まご/\したもんですから……」

「そうでしよう、駅の名前なんてごぞんじないはずだわ。で、北海道へ、ずつとこれから?」

「漁師になりました。さかなの方の漁師です」

「まあ、それじや、船で?」

「はあ、まあ、自分でも乗つて出ることもありますが、小さな会社みたいなものをはじめましてね。