Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate
六
おれは、お母さんのことより、モトムのことより、お前のことが気がかりだつた。お前にひと目会つて、お前だけがおれにすべてをさゝげてくれていることを知りたかつたんだ」
一徳は、あぐらをかいたその片ひざを弾ませた。
六
康子は、ふら/\と眼がくらむような気がしたけれども、夫の、よくする、あの人を射すくめるような眼つきにぶつかると、胸にひやりとしたものを感じ、ある反ぱつをさえ意識して、こう言つた。
「どうかおゆるしくださいまし。あたくしには、まだ母としてのつとめが残つております」
すると、一徳は、
「母としてのつとめか。うむ、なるほど、それで一応は理くつがたつ。しかし、お前の手で子供が養つていけるか?」
「いけてもいけなくつても、養つていかなければなりませんわ」
「男の子はうつちやつといても育つ。どうだ、モトムはお母さんに預けといて、おれの行くところへついて来んか? そんなにびつくりするな。無理心中をするつもりなんぞ、おれにはない。お前がその気なら、そうしようといつてるだけだ。いやか? え? いやなら、いやでよろしい。もうこれ以上なにも言わん」
彼はそう言つたと思うと、ぐらつとうしろへひつくり返つた。