Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate

Aozora Bunko

二

二

戸締りのないドアがバタンと開く。

「ひとりだろうね」

電燈がつく。筒井レイ子は、和服のすそをはだけて、北原ミユキの枕もとにつゝ立つている。

「あら、ごめんなさい。お床とつとかないで」

と、言うのを、

「神妙にご帰宅とは知らなんだちゆうわけか。いゝよ、いゝよ、それより、困つたことできたんやわ。ほら、あんたんとこへよく来る広島の、なんだつけ、オーさんか、あのひとの友達でうちにほれちよるマーさん、知つちよるやろ。たつた今、ふらりと来て、泊るとこないか言うんよ。あちこち歩いてべろん/\や。今ごろ、どこ行つたて、宿なんぞあるもんか言うてやつたん。拝むんやわ。うちとはまだどうもないんやぜ。そやつたら、一晩ぐらいそこのはじつこへ寝かせてやつたかて、あんた、がまんできるやろ思うて……」

でい酔の舌に、さすがに約束違反の気がねをのせて、筒井レイ子は弁じたてる。

「いや! わたし、絶対に、いや!」

と、北原ミユキは夜具をかぶつたまゝ、キッパリ言う。

「いやか。いやでもしようないわ。そこへ待たせてあるんや」

「そんなら、わたし、この部屋出るわ。勝手にしなさい」

彼女は、おきあがる。