Classici giapponesi con furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate
二
市ノ瀬のことは、ご想像にまかせます。わたくしは、奥様のお言葉を信じたことが、やはり間違つてはおりませんでした。これからのことは、いつさいわたくしの責任だという気がいたします。
二
こゝで、井出康子はほつとした。
北原ミユキの手紙は、そこまで読んだきりで、急いで市ノ瀬牧人の、同じ封筒を使つたその封をあける。
――先日はお疲れになつたことゝ思います。事は順調に進んだように思われます。いろ/\御配慮にあずかつたことについては、今、御礼を申上げるのが適当かと思います。両人は本月十日、正式に結婚いたすことに決めました。障がいと思われたことが、案外、そう思うだけのことであつたのには驚きました。しかし、小生の本心を申しあげれば、これはミユキにもその通りを言つてあるのですが、まだ/\しやく然とはしていません。生がい消すことのできない焼印のようなものが、小生の心の上に残つています。手を触れてはならぬ偶像としてではありましようけれども、夢にもたえず浮ぶ香高いすがたです。地上のものにたとえるすべのない一女性の微笑を、小生は他の如何なる女性にも見ることを欲しません。また、それは不可能なことです。