Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate

Aozora Bunko

三

行くことになつた。

この家の主婦に礼をのべて、彼女は、モトムと市ノ瀬とが手をつないで走る、そのあとを、急ぎ足でついて行く。

谷の小みちは、暗く、しつとりと湿つていた。けい流の音がしだいに近づく。

たきはなか/\見えない。

先へ行く二人は、道の曲り目ごとに立止つて彼女の追ひつくのを待つ。

「ずいぶんあるのね。すぐかと思つたら……」

「いや、もういくらもないです。たきつて言つたつて、おもちやみたいなもんですよ」

「このへんなの、クマが出るつていうの?」

「えゝ、冬のうちは、この下の里までやつて来ますよ。イノシヽはいまでも出るでしよう」

三

ようやく、あれがたきだと言われて、向う岸のへこんだところをみると、申しわけのように、三尺幅ほどの水が一段高いところから落ちていた。

「ほんとに、おもちや……」

と、彼女はからだを折つて笑つた。

「奥さんの知つてる大きいたきつていうと、なんだね?」

「あたしは、華厳も、那智も知つてるわ。トムちやんだつて、華厳は覚えてるでしよう?」

「あゝ、これの十倍ぐらいだね」

「十倍できくもんですか。でも、なんだつて大きいばかりが能じやないわ。それにしても、このたきはねえ……」