Classici giapponesi con furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate
二
ほんとに、あなただつて、お母さまと百々子さんだけで、そりやあたいへんなんですもの。そのうえまた……」
「だから、それはつまらん遠慮だつて言つてるじやありませんか。こうみえて、ぼくもちかごろはそんなにぴい/\してやしませんから……」
彼は、おう揚に笑つてみせる。なるほど、いろ/\な点から、この弟が戦争の末期から今日この頃にかけて、相当に金まわりのよくなつている様子はうす/\察せられた。そして、それは彼の家思い、きようだい思いである日頃の性質をいつそう目立たせていた。
彼女は、そういう弟の、ひどく物のわかつたらしい助力の申出を拒みつゞけている。
二
康子は、母と義妹とがこの弟の家に引取られることにきまつたうえは、もうなにも先々のことを心配してはいなかつた。どうするつもりかとたずねられても、まだはつきりした返事はできなかつたけれども、とにかくなんとかなるという自信はあつた。
夫の自決について、彼女がそれを予め告げ知らされていたこと、しかもそれを母に黙つていたことが、遺書の開封をめぐつて、穏かならぬ空気を一家のうちにまき起したのは事実であつた。それ以来、母は彼女と直接口をきこうとせず、百々子は百々子で、あてつけがましい皮肉を言い、弟の三則だけは、それでも、兄貴の口止めは、これは絶対なものだとして、一応彼女の立場に同情