Classici giapponesi con furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate
この子は、こんなはずないのよ。ちかごろ、すこうし、甘つたれやさんになつたの。ねえ、トムちやん、そうでしよう?」
モトムは、たゞ、ふくれていた。
それはたしかにそうなのである。最近、べつに、ことさら手心を加えているつもりはないのに、夫のあのことがあつて以来、むすこの日常にどこかゆるみができたような気がする。これがもし、女親一人になつた影響だとすれば、いつたい、自分のどこにすきがあるのか、そういうことも、彼女のこのごろの不安のひとつであつた。
なんと励ましても効き目はなかつた。モトムはとう/\、そこへしやがみこんでしまう。
市ノ瀬牧人も、とう/\口を出した。
「それじや、わしがおぶるか?」
「おぶつてもらつてごらん。一生の恥じだわ」
すると、モトムは憤然として起ちあがり、今までとうつて変つた足どりで歩きだした。
「おぶつてなんぞもらいたくないよ。お母さんは市ノ瀬さんとばつかり話してんだもの。ボク、つまんないよ」
彼女は市ノ瀬牧人と顔を見合せた。そして、あきれたという顔つきで、
「あゝ、そうなの、それが気に入らなかつたの? じや、あんたと話するわ。それより、いつしよに歌うたいましようよ。