Classici giapponesi con furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate
「無茶だね、先生の言うことは。そう頭ごなしに言わないで、ちやんと話をしたらどうだね」
「そりや、するわ、いくらでも……。たゞ、あなたがまじめに聞いてくれそうもないからさ」
そう言つて、彼女はちよつとさびしそうな眼つきをする。
「ほんとだ。人の話をまじめに聞かんのはよろしくない。しかし、先生の方にも、まじめに聞かせんようなところがあつたことはたしかだ。そこで、こつちは今度こそまじめに聞くによつて、なんでも話してみておくれんか」
「いやだ、そういうまじめはきらい、わたし」
「すると、どういうまじめがいゝんだろう?」
「知らないわ。まじめくさくないまじめよ」
「なるほど、わかりました。しかし、もう手おくれだよ、先生。こりや、どうにもならんよ。すべりだしがわるかつたもんで……」
二人は、そこで、ほがらかに笑つた。
丘の上に建つたI市からH村に通じる道はいくつもあつた。天竜の支流である松川の岸に沿つて東へくだる村道はいちばん人通りがすくない。その人通りのすくない道を、どちらかと言えば北原ミユキのほうが選んだ。だれがだれといつしよに歩いていたということが、すぐに教員室の陰口になる、その難を無意識にさける習慣がついているためである。