Classici giapponesi con furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate
げんに、ご自分で責任はないとおつしやつてるじやございませんか。そうだとすれば、あなたのようなかたが、まつたく生きる望みを失つておしまいになるなんていうことは、どうしても考えられませんわ。軍人以外のなにものでもなかつた、とおつしやいますけれども、それなら、これからは、軍人以外のなにものかにおなりになればよろしいじやございませんか。ことに普通の方とは違つた、ゆうずうのきく学問を身につけていらつしやるんですもの。
すると、夫の一徳は、例の調子で、
――女になにがわかるものか。ゆうずうのきく学問とはいつたいなんだ? おれの専門は兵器だ。戦争以外に役には立たんさ。よしんばゆうずうがきくとしても、おれには、ほかのことはてんで興味はない。仕方がなしにやるというような仕事はまつぴらだ。
――あら、そうでしようか。科学上の研究とか発明とかいうものは、これからの日本で……
――おい、待て。これからの日本なんていうものはないよ。完全な亡国じやないか!
――日本がないなら、世界でもよろしいわ。でも、あたくし、理くつを申してるんじやございませんのよ。どうかして、あなたが、ご自分のいのちを大事なものだと思いかえしくださるように、あたくしの精いつぱいのお願いをしているんですわ。