Classici giapponesi con furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate
笑いをふくんで言う彼の言葉に、すかさず、彼女は、
「ドーシン? あゝ、子供の心、わかつたわ。こつちが、もう、老婆心のかたまりみたいになつちやつたから……」
ちよつと、おどけて、彼女は、にらむような眼つきをした。彼女にしては、めずらしい素ぶりであつた。
彼女はすぐにまたミシンを動かしはじめる。踏みながら、押しながら、彼女は、言葉をかける。
「いゝ時候になつたわね。あなたもこれからご用がふえるんでしよう? それに、世間の騒がしさは、あたしなんかにはよくわからないけど、いつたい、どうなるつていうの? あなたには、そんなに関係ないの?」
「世間の騒がしさですか? さあ、騒がしいのが当り前でしようが、わし自身は騒いでも、しようがないと思つとるんです。革命つていえば社会制度がひつくり返ることですから、物が落ちたり飛びあがつたりぶつかつたり、こわれたりするわけでしよう。騒がしいわけですよ。しかし、新しい組み立てのプランができ、材料がちやんとそろつていなければ、たゞ、ガヤ/\ひつかきまわしてみても、またすぐやり直しつていうことになりますからね。わしは、だから、動きまわりたくない。