Classici giapponesi con furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate
こんなことを言いながら、彼女は、中園のためにありつたけのふとんを重ねる胸算用をした。
モトムの小さくなつたパジャマをヒデ子は着せられて、うれしそうであつた。
「さ、おやすみなさい。お父さまのそばへいらつしやりたかつたら、いつでもいらつしやいね。ここは閉めておきましよう」
唐紙を閉めた座敷に、康子は中園と向い合つた。
「あなたもお疲れね。先が長いから、たいへんだわ」
「北海道の果てまで子供を連れて行くつてことはひと苦労ですよ。しかし、これからは仕事に身がはいるでしよう。そばにいるべきものがいないつていうことは、今の自分にとつては、張り合いがなくていかんです。娘の顔を毎日みていれば、つまらんことに気をくさらさなくつてすみますから……」
「そりや、そうでしようとも……学校なんか出来てるんですの、今いらつしやるところは?」
「その学校なんですが、まあ、そのうちになんとかしようつて言つてるんです。なにしろ、町からは三十キロもはなれた海岸ですから……。バラックがやつと四五軒建つたばかりで、電気もつかず道もろくにないような砂つ原です。まあ、無人島へ流れついたと思えば間違いなしです」