Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate

Aozora Bunko

そして、何事もなかつたように、やがて、食卓へみんなを着かせた。

モトムの弁当をつめようとすると、

「お母さん、きようは学校お休みだよ」

「おや、どうして……」

「だからきのうそう言つたじやない、開校記念日だつて……」

「あら、いやだ、すつかり忘れてたわ」

すると、中園がそれを引きとつて、

「まあ、いゝや、お母さんが忘れたつて、お休みはふいにならないんだから……」

にぎやかな笑い声のなかで、康子は、なにか心うかぬものがあつた。

「じや、せつかくのお休みだから、きようはヒデ子ちやんと遊んであげるといいわ。でも、お帰りの汽車の時間はどうかしら?」

と、中園は、

「そうですね、ぼくの予定では、長野へ朝着くとぐあいがいゝんですが……」

「そんなら、こゝをもうお昼にはおたちにならなけりや……」

「そんなにかゝりますか」

「その方が安全だと思いますわ。今の汽車は時間があてにならないし、混んでると乗りそこなうことだつてありますもの」

「そうしますかな」

「そうなさい」

と、彼女は、力をこめて言つた。

十四

二人の子供は、兄妹のようにではなく、うい/\しい恋人のように遊んでいた。

しかし、康子は、そのひまに、中園と向い合つて話をするのが、どうもいやであつた。