Classici giapponesi con furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate
「お手紙にはこうあつたわ……五年十年なら待ちます。二十年といえば、わたしは四十六です。待つことが待つことになるでしようか……」
「待てないことはないでしよう」
と、市ノ瀬牧人は、低くつぶやいた。
「そんなこと、たゞ、美しい物語にすぎないわ。そういうことも、それがもし自然にそうできるなら、あつたつていゝわ。たしかに、感動にあたいする人間のすがただわ。でも、もしそれが、何かあるおきてのようなもの、道徳のようなもので、むりに強いられて、そうするのがほんとだ、そうしなければならないと思うのだつたら、あたしは、間違いだと思うの。そのことを、北原先生だつてわかつてらつしやるにちがいないんだけど、まだなにかさつぱりしないんだわ。それで、あたしに、どうしたもんだろうつていうご相談なの。今までは当分の間と思つて、不安と戦つたり、さびしさをまぎらしたりしていたけれど、もう、これからは、そんなことで気持がおさまるわけはないつて……まあ、そうでしようね。あたしも、どうしていゝかわからないの。戦争のおかげで不幸な人もたくさんできたわ。でも、北原先生だけは、あたし、なんとかして、この不幸から救つてあげたいの。