Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate

Aozora Bunko

、毎日のように人が押しかけて来、そうなると彼女がいち/\応待しなければならぬというような有様であつた。

そこで、彼女は、北原ミユキを説き伏せていつたん郷里の実家へ帰し、自分が市ノ瀬牧人を連れて、近くそこへ訪ねて行くという段取りをきめた。

彼女は、それから早速、市ノ瀬牧人にあて、手紙を書いた。彼の返事は簡単だが、彼女の意志を十分にくんだものであつた。しかし、最後はこう結んであつた――

「――ともかくお言葉に従います。先方も多分、奥様のお心にそむかぬため、そういう決心をしたのだと思いますが、二人はいわば、共通の尊敬と信頼を第三者たる奥様にさゝげ、そこにひとつの希望をみいだそうとしているわけです。奥様にとつて、それはずいぶん大きなご負担でありましようし、小生にとつては、なによりも、冒険というほかないのです。しかし、率直に申して、若い小生には、冒険は必ずしも有がたくないわけではありません。自分が何事をなし得るかということは、つねに、小生の心を躍らせる疑問です。こんどのことは、決して浮わついた興味からでなく、自分の力をある意味で試すことにもなり、あわよくば、人間として、男として、満足に生きる自信を与えられるかも知れないと、ひそかに期待している次第です。