Classici giapponesi con furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate
「いや、ねえさんのそういうお気持がわかれば、ぼくにしたつて、なんにも言うところはありませんよ」
と、義弟は、つゝ放すように云つた。そして、奥に向つて、
「お母さん……ちよつといらしつてください」
しゆうとの乃婦は、ちよつと間をもたせて、姿をあらわした。
「だいたい、話はわかりました。ねえさんはあくまで親せきのやつかいにならずに自活の方法を立てると言われるんですが、その意味は、ぼくの理解したところでは、井出家の一員として今後なんらの束縛もうけたくないというお考えらしいんです。まあ、そのお考えのよしあしは別として、そういう決心をされているねえさんをですねえ、お母さんは、長男の嫁として、どう取り扱われますか? ぼくは、これは、ねえさん一個の問題としてでなく、井出家の問題として、はつきりさせなきやいかんと思うんです」
次男三則の、ひざを正してのこの言い分を、乃婦は、わざととぼけた顔つきで、
「へえ、それは初耳ですねえ。死んだ一徳が聞いたらなんていうか……」
「そんなこと、お母さん、むだなせんぎですよ。それより、大事なことはほかにあるでしよう? 兄貴の遺書は、かんたんにねえさんの自由を認めていますね……」