Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate

Aozora Bunko

と、それこそ、にこりともせずに、たずねる。

「病気かい? それはちよつとぼくの口からは言えんなあ。しかし、君が病院をきいたら、教えてくれつて言つたぜ」

すると、そばから、だれかが、

「あら、ずいぶんまわりくどいんやなあ」

「そうよ、これが尾関らしいところよ」

「ユキちやん、どないすんの? 病院をきくの? きかんの?」

「うるさいわね。そんなこと、あたしの勝手じやないの」

と、北原ミユキはぷいと席をたつてしまつた。

が、しばらくして、彼女は、正木の席のそばを通つた序に、

「あたし、お見舞の手紙書くから持つてつてくださる?」

と、声をかけた。

「あゝ、それでもいゝよ。だけど、ほんとは君に来てほしいんだよ、やつこさん」

で、そのつぎにまた、あつらえものを運びながら、

「じや、病院どこだか、教えて!」

ほかの女の手前、すこし虚勢をはるように胸をそらせながら、言つた。

「よし、そうこなくつちや」

と、正木は、もういい加減に酔つた手つきで、万年筆をポケットからぬきとり、紙ぎれへなにやら書いて、やがて通りかゝる彼女の手に渡した。

病院の名と所と、おまけに道順までていねいに説明してあつた。