Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate

Aozora Bunko

おれは、なるほど、ルンペンだ。しかし、たゞのルンペンではない。おれは居候かもしれん。しかし、たゞの居候とはわけがちがう。江原久作の芸術は、おれの霊感なくしては断じて実を結ばんのだ……」

手をたゝくもの、「しつかり、しつかり」と叫ぶもの、などがあつた。

「そんなら、おれも言つてやるが、この尾関というのは妙な男で、もと/\裁判官のむすこと来てるから、人を裁くのがむやみに好きなんだ。その結果、彼は恋愛というものをしたことがない」

「よけいなお世話だ。安手な恋愛に満足する手あいはそのへんにごろ/\している。おれは、生がいにたつた一度の、命をかけても惜しくないおれの恋愛のために乾杯する」

尾関は、どつかと床の上に腰をおろして、ビール・ビンを傾けた。

ギターをひきだすものがあつた。

ざわめきが次第に静まつて、みんながその音に耳をすましはじめる。

こうして、夜はふけた。

酔いつぶれた一人二人を残して、引上げることになつた。

尾関昇は北原ミユキを促して駅までみなを送ろうと言つた。

スギ林の中をまつすぐに通じる広い道路を、彼等二人は、いま帰つてくるのである。彼女はあまり口を利かない。