Classici giapponesi con furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Leggi 火の扉 (ひのとびら) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.467 caratteri · 257 schermate
と、市ノ瀬牧人は、これもハンドルを握りなおす。
自転車の衝突事件以来、この二人はお互にだん/\遠慮がとれて、ふしぎに異性という観念をはなれた友達づきあいのできる間がらになりつゝある。それはむろん、北原ミユキに婚約者があるという安全ベンのためでもあるが、それ以上に、これらの両人に共通な性格――そこから来るこだわりのない、あけすけな態度が、双方の警戒をとりのぞいて、同性にさえも求められぬ淡白な友情の如きものをつくりあげているからである。
それにしても、市ノ瀬牧人は、一人の若い女性が自分の背中につかまりながら、その愛人の詩について語るのを聞くのはまことに妙な具合で、自転車のかじを取るのもなか/\容易でない。
しかし、事こゝに及んでは、と、はらをきめ、おもむろにこう言つてみる――
「わが天上の星にさゝぐ、か。北原先生、それじや、せつかくの機会だから、ひとつ、その詩を暗しようしてみておくれんか」
すると、彼女は、ほんとにからだをゆすぶつて、
「いや、いや、それだけはいや……。死んでもいや……」
「いやという法はないに、自分で言いだしといて」
「だから、いやなのよ。