일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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おうしゅうきこう

欧洲紀行

横光 利一

横光 利一의 欧洲紀行(おうしゅうきこう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 120,107자 · 241화면

아오조라 문고

「これだよ。ね、いいだろう。」

とまた呟く。何か分らぬままにもいいだろうと囁かれると、声から風のように何とも知れず良さそうなものが這入って来る。それが何かと探したとて分るものではない。頭の痺れがすでに風格をもって良いのであるから、何ものか頭の中から失われたものが良くなるという風な具合で、悪霊がもう忍び込んでいる。北京へ行くものは悪徳と戦うつもりで行かない限り、身につけた現世の健康なものはすべて無くなってしまうかもしれぬ。ここには精神のある美よりも詐術の美を美とする精神がある。もし疲労と孤独のために難なくこれに襲われたら、恐らく北京ほど美しく見える都会はないだろう。死体に色づけ客間に置き放したまま嫣然と笑わせたようなこの都会の女性的な壮麗さは、たしかにどこの国にも類例はあるまい。

私は北京のことを書こうと思って筆をとっているのではないが、もう少し書こう。数世代も続いた都を他民族に征服され、またそれが崩れると次の民族が交代するという肉体の死滅して来た累積層の中には、残るものはこのように頓狂なものばかりかと思って私は茫然とした。かつて有ったに相違ない良いものは、殆ど演劇だけを残して死んでしまっていて、尨大な駄作ばかりが本尊となりすまし、樹の海がひとり祭壇をめぐっている。