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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页
三
「ああ、われ誤る」
と、まず黄権が出て、門外に額ずき、つづいて劉巴も恭順をちかった。
成都は収められた。こうして、蜀中は平定した。
孔明は、玄徳へすすめた。
「いまはもうよい時です。劉璋を荊州へお送りなさい」
「蜀の実権は、すでに劉璋にないのだから、あえて、遠くへ送る必要もないのではなかろうか。不愍に思われる」
「一国に二人の主なし。そんな婦人の仁にとらわれてはいけません」
「……げにも」
玄徳はうなずいた。しかし彼としては、勇気を要した。
孔明がすべてを取り計らった。即ち劉璋を振威将軍に封じ、妻子一族をつれて、荊州へ赴くようにという令をくだしたのであった。
ここに劉璋は蜀を去って、荊州の南郡に移り、まったくその地位と所をかえて余生する身となった。
玄徳は次に、恩爵授与の大令を発した。譜代の大将部将幕賓はもちろん、降参の諸将にまでその封爵と行賞はあまねくゆきわたった。
三
封爵、栄進の恩に浴した将軍たちの名はいちいち挙げきれないが、玄徳は、この栄を留守の関羽に頒つことも忘れなかった。
関羽のみでなく、その下にあって、よく後方を守ってくれた将士軽輩にいたるまで、恩典から洩れないようにした。