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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页

青空文庫

二

二

周泰は、憤然として、

「一刻を過ったために、この勝機を逸したのに、三日も待っていたら、一体どうなるのだ」

相手にするもばかばかしいといわんばかり横を向いて地に唾した。

しかし陸遜は、なお鞭をあげたまま彼方を指して、

「そこの谷間、先の山陰などに、陰々たる殺気がある。思うに蜀の伏兵であろう。さるを殿軍に、弱体の老兵ばかり一万も残して、敵が遠く退いたのは、われを誘わんとする、見えすいた謀にちがいない」と説明した。そしてかたく一同の出撃を禁じ、本陣へ帰ってしまった。

「何たる懦弱さ」

「書生論の兵学だ。いやはや……」

人々は陸遜の怯懦を嘲って、もう成るようにしかならない戦と――匙投げ気味に部署についていた。

その足もとをつけ込んでか、蜀の老兵は、呉の陣前で、わざと甲を解いて昼寝したり、大あくびをしてみせたり、またさんざんに悪口を放ったりして、

「出てこい。来られまい」

と、揶揄しつづけた。

「もう我慢ができない」

と周泰、韓当などの諸将は、三日目にまた陸遜のところへ詰めかけてきた――が、陸遜は依然としてゆるさず、

「匹夫の勇に逸るなどは、各※(二の字点、1-2-22)の任ではあるまい」