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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页

青空文庫

二

ついに、張※(「合+おおざと」、第4水準2-90-10)は、三万の兵を乞いうけた。自分が総指揮官となって、意のままに作戦し、思うように戦ってみたかったのである。意気揚々、巴西へ向った。

この巴西方面から中(重慶の北方)のあたりは、山みな峨々として、谷は深く、嶮峰は天にならび、樹林は千仭の下にうずもれ、いったいどこに陣し、どこに兵馬を歩ますか? ――ちょっと見定め難いような地勢ばかりだった。

張は、三ヵ所に、陣地を構築した。――というよりも、天嶮へ拠って、巣を作るようにたて籠った。

一ノ陣を、宕渠寨とよび、二ノ陣を蒙頭寨と号し、三ノ陣を、蕩石寨ととなえた。

「いかにやいかに。敵も見よ」

と、まずその布陣を誇って、兵力の半数をそこに置き、あとの一万五千をひきいて、みずから敵の巴西間近へつめよせた。

二

張飛は、部下へ諮った。

「どうだ雷同。――来たそうだが」

「来たのは、張だそうで」

「一万五千。蟻のように、踏みつぶしてみたいな。守って戦うか。出て行くか」

「地勢のけわしい所です。出かけて行って、不意をついたほうが、面白いかもしれません」

「よかろう。出陣だ」

各※(二の字点、1-2-22)、五千ずつの兵力をひッさげて、張飛、雷同の二隊は、巴西を発していた。