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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页
二
王甫や関平は、諸方へ人を派して、
「名医はないか」と、遍く求めさせた。
するとここに風来の一旅医士が童子一名をつれ、小舟にのって、呉の国のほうから漂い着いた。沛国郡の人、華陀という医者だった。
二
江岸監視隊の一将が、華陀を連れて、関平の所へ来た。
「この旅医者は、呉の国から来たと申しますが、先頃より諸州へ医師をお求めになっておる折から、或いはお役に立つかも知れぬと存じて連れ参りましたが」
関平はよろこんで、ともあれ自分の幕舎へ迎え、まず鄭重にたずねた。
「先生の尊名は?」
「華陀、字は元化」
「さては、呉の大将周泰の傷を治したと聞く名医でおわすか」
「かねがね景仰する天下の義士が、いま毒矢にあたってお悩みである由を承り、遠く舟をあやつって駈けつけたわけでごさる」
「父は蜀の大将軍たり。先生は呉国の医たるに、そも何の故あって、はるばる渡られたか」
「医に国境なし。ただ仁に仕えるのみです」
「おお、では早速、父の毒傷を診て下さい」
華陀を伴って、彼は父の帳中へ行った。折しも関羽は馬良をあいてに碁を囲んでいた。大熱のため口中は渇いて棘を含むがごとく、傷口は激痛して時々五体をふるわすほどだったが、豪毅な精神力はそれを抑えて、人には何気なく見えるほど平然と囲碁にまぎらわしているのだった。