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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页
蜀山遠し
一
大勢はすでに決しました。荊州九郡の内、残るは麦城の一窟のみ、今やことごとく呉軍でないものはありません。しかも内に糧なく、外に救いなき以上、いかに将軍が節を持しても無駄ではありませんか。主人孫権はそれがしを差し向け、慇懃に将軍を迎えて来いと仰せられました。いかがです私と共に栄華長生の道へ、すなわち呉の陣門へ降りませんか」
関羽は肩で苦笑した。
「呉侯は人をみる明がない。懦夫に説くような甘言はよせ。窮したりといえど、関羽は武門の珠だ。砕けても光は失わず白きは変えぬ。不日、城を出て孫権といさぎよく一戦を決するであろう。立ち帰ってそう告げられよ」
「何故将軍はそのように好んで自滅を求め給うか」
すると一隅から、黙れッと大喝して、鞘走る剣と共に、諸葛瑾へ跳びかからんとする若者があった。関羽は叱咤して、その関平の臂を抑え、
「待てまて。孔明の兄だ、孔明に免じて、放してやれ」
そして瑾を城外へ追い返すと、関羽はふたたび寂として瞼をとじた。
蜀山遠し
一
閑話休題――
千七百年前の支那にも今日の中国が見られ、現代の中国にも三国時代の支那がしばしば眺められる。
戦乱は古今を通じて、支那歴史をつらぬく黄河の流れであり長江の波濤である。