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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页
神卜
一
あとで聞けば。
練兵場に積みあげられた四、五百の屍が、またたく間に、みなむくむく起きだして、それが一かたまりの濛気となり、王宮の内へ流れ入ると、やがて池畔の演武堂にはしり上がり、四、五百体の左慈そのままな姿をもった妖人が、あやしげな声を張り、奇なる手ぶり足ぶりをして、約一刻のあいだも、舞い狂っていたということだった。
さしも豪胆な魏の諸大将も、これにはみな慄えあがり、曹操もまた、諸人に扶けられて、後閣に狂風を避けたが、その夜から彼は、近侍の者に、
「何となく悪寒がする」だの、
「風邪気味のせいか、物の味がわるい」
などと云い始めていた。
神卜
一
太史丞の許芝は、曹操の籠る病室へ召された。
曹操は、起きていたが、以来、何となくすぐれない容態である。
「許都に、卜の上手がいたな。どうも今度の病気はちとおかしい。ひとつ卜者に見てもらおうと思うのだが」
「大王、卜の名人ならば、許都にお求めになるよりは、この近くにおりますが」
「それは倖せだ。何というものか」
「管輅と申せば、世上、神卜の達人として、知らない者はありません」
「徒然だ。なぐさみに先ず聞こう。いったい、その易者の卜は、どれほど神通なのか。