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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页
柑子と牡丹
一
曹操は、そのあいだみだりに動かなかったが、黙々と、戦備を充実し、兵力を加え、さらに大規模な次期の作戦をえがいているように思われた。
呉の老臣、張昭がいった。
「決して、楽観をゆるしません。何といっても、曹操は曹操です。如かず、歩のよいところで、和議をおはかりあっては」
孫権のほうから、やがて歩隲が、その使いに立った。曹操も、この辺がしおどきと考えたか、
「中央の府に対し、毎年、貢ぎを献じるというならば」と案外、受けやすい条件を出して答えたので、和睦はたちまちまとまった。
けれど、真の平和の到来でないことは、魏にも呉にも分っていた。曹操は全軍を引いて都へ帰り、孫権は秣陵へ引揚げたものの、その前線濡須の口も、魏の境界、合の守りも、双方ともいよいよ堅固に堅固を加え合うばかりだった。
柑子と牡丹
一
呉に年々の貢ぎ物をちかわせて来たことは、遠征魏軍にとって、何はともあれ、赫々たる大戦果といえる。まして、漢中の地が、新たに魏の版図に加えられたので、都府の百官は、曹操を尊んで、「魏王の位に即いていただこうじゃないか」と、寄々、議していた。
侍中の王粲は、曹操の徳を頌した長詩を賦って、これを侍側の手から彼に見せたりした。