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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页

青空文庫

二

、第3水準1-94-86)徳はこなたへ馬を向けてきた。その姿が関羽の前にぴたと止ると、魏の陣も蜀の陣も、水を打ったようにひそまり返ってしまった。

まず※(「广+龍」、第3水準1-94-86)徳が大音をあげた。

「われはこれ、天子の詔をうけ、魏の直命を奉じて、汝を征伐に来た者である。汝、わが威を恐れてか、卑劣にも、養子の弱輩を出して、部下の非難をのがれんとするも、天道豈この期になって、兇乱の罪をゆるすべきか、それほど命が惜しくば、馬を下って、降人となるがいい」

関羽は苦笑してそれに答えた。

「西の鼠賊が、権者の鎧甲を借りて、人に似たる言葉を吐くものかな。われはただ今日を嘆く。いかなれば汝のごとき北辺の胡族の血を、わが年来の晃刀に汚さねばならぬか――と。やよ※(「广+龍」、第3水準1-94-86)徳、はや棺桶をここへ運ばせずや」

「なにをっ」

馬蹄の下からぱっと黄塵が煙った。旋風のなかに※(「广+龍」、第3水準1-94-86)徳の得物と関羽の打ち振る偃月刀とが閃々と光の襷を交わしている。両雄の阿ばかりでなくその馬と馬とも相闘う如く、いななき合い躍り合い、いつ勝負がつくとも見えなかった。