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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页
上・中・下
一
仁者相争ウヲ嘲ッテカ天ハ洪々ノ春水ヲ漲ラシ、君ノ帰洛ヲ促シテイル。賢慮セヨ君、再ビ赤壁ノ愚ヲ繰返スコトナキヲ。
建安十八年春二月呉侯孫権書。
ふと、書簡の裏を見ると、また、
足下不死
孤不得安
と、書いてある。
曹操は苦笑して、次の日、
「帰ろう」
あっさりと、引揚げを命令した。
呉軍も、それを見て、みな秣陵の建業(南京)へ帰った。
孫権はすっかり自信を得て、
「曹操すら恐れて帰った。いま玄徳は蜀境に動いている。この時をおかず荊州へ進もうではないか」と、群臣に諮った。
宿老の張昭は、いつも若い孫権に歯止めの役割をしていたが、このときも次のようにいった。
「蜀の劉璋へ、一書をおつかわしあって、玄徳は呉へ後詰を頼んできている。必ずや蜀を横奪する考えにちがいない、とまず劉璋を疑わせ、また漢中の張魯へも、物資軍需の援助を云いやり、しばらく玄徳を苦しませて、後おもむろに荊州を取るのが一番の良策でしょう」
上・中・下
一
葭萌関は四川と陝西の境にあって、ここは今、漢中の張魯軍と、蜀に代って蜀を守る玄徳の軍とが、対峙していた。
攻めるも難、防ぐも難。
両軍は悪戦苦闘のままたがいに譲らず、はや幾月かを過していた。