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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页

青空文庫

二

錦の袍を着した武士、手に紅羅の傘蓋をささげて、左右には、金瓜、銀鉞、戈矛をさしあげ、天子の鑾駕の偉容を整えさせている。

また、龍虎になぞらえた近衛兵二万五千、これを五手に分け、いずれも五色の旗を持って、龍鳳日月の旗を中心に控えた有様は、まばゆきばかりの美しさと、天下を睥睨する威容をつくって、見事なものであった。

二

絢爛たる軍容粛々とあたりを払って、潼関にまで進んだ。

曹操は、遥かに樹木の生い繁った所を見て、

「あれは、いずくぞ」と、従者に問う。

「藍田と申すところです。あの樹林のうちが、すなわち蔡の山荘でございます」

近侍の答えに、曹操は往事を思い出して、山荘を訪れようといった。

むかし、蔡※(「巛/邑」、第3水準1-92-59)と交わりを深めていた頃の話であるが、蔡※(「巛/邑」、第3水準1-92-59)に蔡という娘があった。縁あって、衛道に嫁いだが、韃靼に生虜られ、胡のために無理に妻とせられてしまった。

蔡※(「王+炎」、第3水準1-88-13)の悲嘆は、天地も崩れるばかりであったが、ついに胡の子二人までも生んだ。しかし明けるにつけ、暮るるにつけ、この沙漠不毛の国に囚れては、故郷恋しく、涙に袖の乾く間もなかった。