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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页

青空文庫

三

「おう、あれにおるは、魏の※(「广+龍」、第3水準1-94-86)徳、董起、成何などの諸将と見ゆるぞ。好い敵が一つ所におる。取り囲んでことごとく射殺してしまえ」

蜀の軍卒は、その兵船や筏をつらねて、旗の群れ立つ岬を囲んだ。

矢は疾風となってそこへ集まった。五百の兵は見るまに三百二百と減って行った。董起や成何は、所詮逃げる途はないと諦めて、

「この上は、白旗をかかげて、関羽に降を乞うしかあるまい」

と云ったが、ひとり※(「广+龍」、第3水準1-94-86)徳は、弓を離さず、

「降る者は降れ、おれは魏王以外の他人に膝を屈めることは知らん」

と云って、矢数のある限り、射返し射返し、奮戦していた。

三

「わずかな敵を、持てあまして、いつまで手間取ってるか」

と、関羽の一船もそこへきて短兵急に矢石を岬の敵へ浴びせかけた。

魏の将士は、ばたばた仆れては水中へ落ちてゆく。しかもなお徳は、不死身のように、関羽の船を目がけて弦鳴りするどく、矢を射ては、生き残りの部下を励まし、また傍らの成何へも叫んだ。

「勇将ハ死ヲ怯レテ苟モ免レズ――という。今日こそは※(「广+龍」、第3水準1-94-86)徳の死ぬ日と覚えた。