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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页

青空文庫

そして自身、先陣を編制し、許※(「ころもへん+睹のつくり」、第3水準1-91-82)と徐晃を従えて、一高地へ上った。

陽平関の敵が見える。曹操は鞭をさして、

「あれが張衛の陣か、程の知れた布陣、何ほどのことがあろう」と、いった。

そのことばと同時に、背後の一山から、驟雨のように矢が飛んできた。愕いて急に振りかえると、敵の楊昂、楊任、楊平などの旗じるしが、攻め鼓に士気を振って、

「網中の大鵬を逃がすな」と、麓の退路を断ちにかかった。

この日から次の日の戦争にかけて、魏軍はまたしても莫大な兵を損じた。三日目にも挽回がつかず、曹操も苦戦に陥ちて、万死のうち一生を拾って逃げ帰ったほどである。

陣を七十里ほど退いて、対峙すること五十余日、曹操も、容易に抜き難いことをさとったか、

「ひとまず許都へ還って、さらに出直そう」

と、布令た。

一夜のうちに、魏の旌旗は、忽然とかき消えた。漢中軍の帷幕では、

「いまこそ退く魏兵を追って、徹底的に殲滅すべし」となす楊昂の説と、

「いやいや、曹操は謀計の多い人物だ。うかとは追えない」

という楊任の説とが対立していたが、結局、楊昂は我説を張って、遂に、五寨の軍馬を挙げて、追撃に出てしまった。