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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页

青空文庫

「いや、おさわぎになるには当りません。てまえのするようにして、後から続いておいでなさい」

凌統は、水ぎわから遠くへ、馬をかえして、改めて、勢いよく馳け出した。そして破壊された橋の水ぎわへ近づくや否、鞭も折れよと、馬のしりを打った。

馬は高く跳び上がって、水面を飛びこえ、後方の橋の端へ立った。孫権も、その技にならって、難なくそこを飛び越した。

河の上に、後陣の徐盛や董襲の船が見えた。凌統は、半分になっている橋の上から、

「主君をここへ置いてゆくから確とお守りをたのむぞ」と、声をかけて、ふたたび前の所を飛び、岸へ上がったと思うと、敵の矢風へ向って、まっしぐらに馳け向ってゆく。

遠く先へ出過ぎた甘寧と呂蒙もにわかに後へもどって、魏軍と接戦していたが、何分にも、虚を衝かれたため、その備えは、中軍や後陣と一致せず、各所で魏軍に包囲されたり、寸断されたりして、おびただしい戦死者を出してしまった。

わけて、惨たる潰滅をうけたのは、凌統の隊だった。孫権の急場を救うために、まったく隊形を失い、主将を見失っている間に、魏の李典軍の包囲下に圧縮されて、これはほとんど一人の生存者もなかったほど、ひどい屍山を築いてしまった。