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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页
違背する者は斬らんという前触れである。ここで死ぬよりはと、百勇士はことごとく、剣の下に坐り直して、
「ねがわくは将軍に従って死をともにしたいと思います」
と、ぜひなく誓った。
「よし。ではめいめい、合印として、これをの真向へ挿してゆけ」
と、白い鷲の羽を一本ずつ手渡した。
夜も二更を過ぎると、この一隊は筏にのって水路を迂回し、堤にそい、野をよぎり、忍びに忍んで、ついに曹操の本陣のうしろへ出た。
「それっ、銅鑼を打て、鬨の声をあげろ」
柵へ近づくや、立ちどころに哨兵を斬り捨て、わっと一斉に、陣中へ入った。
たちまち、諸所に火の手があがる。
暗さは暗し、曹操の旗本は、右往左往、到る所で、同士討ちばかり演じた。
甘寧は、思う存分、あばれ廻った。時分はよしと、百人を一ヵ所にあつめ、一兵も損ぜず、風のごとく引返してきた。
「将軍の胆は、さだめし曹操の魂を挫いだであろう。痛快、痛快」
孫権は、刀百口、絹千匹を贈って、彼を賞した。甘寧はそれをみな百人に頒けた。
魏に張遼あるも、呉に甘寧あり――と、呉の士気は、ために大いに振るった。
二
昨夜の雪辱を期してであろう。夜が明けるとともに、張遼は一軍を引いて、呉の陣へ驀然、攻勢に出てきた。