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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页

青空文庫

ぜひ折を見て、亮軍師から皇叔へおすすめを仰ぎたい」

と、同意を表した。

孔明は、諸臣の代表として、法正を伴い、ある時、改まって、玄徳に謁した。そして、

「君にもはや、御齢五十をすぎ給い、威は四海に震い、徳は四民にあまねく、東除西討、いまや両川の地に君臨されて、名実ともに兼備わる。これは単なる人力のみの功績ではありません。天の理法、天の意というものも、思わねばなりません。よろしく君にはこの時に、天に応じて王位にお即きあるべきです」

というと、玄徳は、さもさも驚いたように、その面を左右に振った。

「何をいうぞ、軍師。予は漢室の一族にはちがいないが、なお許都には、皇帝がおわす。いついかなる所にあっても、身は臣下の分を忘れたことはない。もし王位を僭称し、曹操の驕りに倣うような真似をしたら、何をもって、国賊を討つ名分となすぞ」

「いやいや、帝位を称え給うには非ず。漢中王に即かるる分には、何のさしつかえがありましょう。いま宇内二分して、呉は南に覇をとなえ、魏は北に雄飛し、また君のご威徳によって、西蜀漢中の分野ここに定まるとはいえ、なお前途の大統一を思う同気の輩は、我が君が、あまりに世間の誹りを気にかけて、いわゆる謙譲の美徳のみを唯一の道としておいでになると、ついには君の大器を疑い、三軍の心、ために変ずるの憂いがないとはいえ