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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页
つまらぬ危惧に理窟をつけて、督軍の将たる者が不用意な言を発しては困る」
成何は恥じ怖れて本陣を辞去した。けれど彼の憂いと不満は去らなかった。彼はその足で徳の陣所をたずねた。そして自分の考えと于禁のことばをそのまま友に訴えた。
※(「广+龍」、第3水準1-94-86)徳はたいへん驚いた。眼をそばだて膝を叩いて、
「貴公もそこに気がついていたか、貴説、まさに当れりである。しかし于禁は総大将という自負心が強いから、とうてい、我らの意見を用いるはずはない。この上は軍令に反いても、我々は思い思いにほかへ陣を移してしまおう」
瀟々と外は間断なき雨の音だった。こんな時は鬱気を退治して大いに快笑するに限ると、※(「广+龍」、第3水準1-94-86)徳は友を引きとめて酒など出した。そして二人とも陶然と雨も憂いも忘れかけていると、にわかにただならぬ雨風が吹き荒び、浪の音とも鼓の音ともわからぬ声が、一瞬天地をつつむかと思われた。
愕然、※(「广+龍」、第3水準1-94-86)徳は杯をおいて、
「やっ、何事だ?」
帳を払って面を向けて見ると、驚くべし、山のような濁流の浪が、浪また浪を重ねて、すぐ陣前へ搏ち煙っている。