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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页

青空文庫

曹丕もつぶやいたが、臣下も少し気に病んでいたところが、八月以降は、ふしぎな吉事ばかりが続いた。

「石邑県の田舎へ鳳凰が舞い降りたそうです。改元の年に、大吉瑞だと騒いで、県民の代表がお祝いにきました」

侍者が、こう取次いで曹丕をよろこばせたと思うと、幾日か経って、

「臨に麒麟があらわれた由で、市民は檻に麒麟を入れて城門へ献上したそうです」

するとまた、秋の末頃、郡の一地方に、黄龍が出現したと、誰からともなく云い伝えられ、ある者は見たといい、ある者は見ないといい、やかましい取り沙汰だった。

おかしいことには、その噂と同時に、魏の譜代の面々が、日々、閣内に集まって、

「いま、上天吉祥を垂る。これは魏が漢に代って、天下を治めよ、という啓示にほかならぬものである。よろしく魏王にすすめ、漢帝に説き奉らせて受禅の大革を行うべきである」

と、勝手な理窟をつけて、しかも帝位を魏に奪う大陰謀を、公然と議していたのである。

侍中の劉、辛毘、劉曄、尚書令の桓楷、陳矯、陳群などを主として、宗徒の文武官四十数名は、ついに連署の決議文をたずさえて、重臣の大尉賈、相国の華、御史大夫王朗の三名を説きまわった。