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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页
これへかからば、白馬を目じるしに狙いをあつめ、矢数石弾のあるかぎりあびせかけろ」と、三千の射手に命じた。
射手は、心得たりと、弩弓を懸つらね、鉄弓の満を持し、敵の来るも遅しとばかり待っていた。
――時は、夏の末。
草も木も猛暑に萎えて、虻や蜂のうなりに肌を刺されながら、※(「广+龍」、第3水準1-94-86)統の軍隊は、燃ゆるが如き顔を並べて、十歩攀じては一息つき、二十歩しては汗をぬぐい、喘ぎ喘ぎ踏み登ってきた。
そのうちに、ふと前方を仰ぐと、両側の絶壁は迫り合って、樹木の枝は相交叉し、天もかくれるばかり鬱蒼たる嶮隘な道へさしかかった。
陽かげに入って、※(「广+龍」、第3水準1-94-86)統は、ほっと肌に汗の冷えをおぼえながら、
「おそらく、こんな嶮しい山道は、蜀のほかにはあるまい。ここはそも、何という地名の所か」
と、途中で捕虜にした敵の兵にたずねた。
降参の兵は、言下に、
「落鳳坡とよび申し候」と、答えた。
「なに、落鳳坡?」
※(「广+龍」、第3水準1-94-86)統は、なぜか、さっと面色を変えて、急に馬をとめた。
「わが道号は鳳雛という。落鳳坡とは、あら忌わし」