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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页
なんで私情の怒りというか。民もみな怒りきるほどの敵愾心と、戦いの名分が明らかにあってこそ、初めて戦いには勝つものだ。汝の言は、理としては聞えるが、尊ぶには足らん」
蜀帝の決意は固かった。
その後、蜀帝の勅使は、ひそかに南蛮(雲南・昆明)へ往来した。
そして南蛮兵五万余を借り出すことに成功を見た。
その間に、張飛の一身に一奇禍が起った。張飛はその頃、中(四川省※(「門<(螂-虫-おおざと)」、第3水準1-93-50)中)にいたが、車騎将軍領司隷校尉に叙封され、また州一円の牧を兼任すべしとの恩命に接したのであった。
「わが家兄は、万乗の御位についても、なおこの至らない愚弟をお忘れないとみえる」
感情のつよい彼は、そういって勅使の前で哭いた。
関羽の死が聞えて以来、張飛はことに感情づよくなっていた。酔うては怒り、醒めては罵り、または独り哭いて、呉の空を睨み、
(いつかきっと、義兄貴のうらみをはらしてくるるぞ)と剣をたたき、歯をくいしばっていたりすることがままあった。陣中の兵は、この激情にふれて、よく撲られたり、蹴られたりした。故に、将士のあいだには、ひそかに張飛に遺恨を抱く者すらあるような空気だった。